10回連続で表が出るなんてあり得ない、イカサマだー
簡単なテスト
まずはこの問題を考えてみてください。正解は文章途中で解説します。
左から順に1回目、2回目とコイン投げをした結果を列挙した。このときにどの現象が最も起きやすいと思いますか?ちなみに1回コインを投げて表が出る確率は1/2です。
①表表表表表表表表表表
②表裏表裏表裏表裏表裏
③表表裏表表裏裏表裏裏
表題のきっかけ
統計の本を何冊か読んでいると、p値の説明によくいかさまコインの説明がされる。「10回表が連続で出る確率は0.097%(1/1024)しかないからこの結果は偶然によるものというよりコインがいかさまコインだと考えた方が妥当」というような説明。
まあp値の説明として紹介しているだけだし、後のページには検定力について書かれていることもあるけど、最初見るとうん?ってなっちゃうと思うんよね。少なくとも僕はそうでした。その考えにいたったのは心理学と確率論の話で次に出てくる大数の法則と小数の法則を学んでいたから(心理学というより行動経済学かな、行動経済学は確率の話が大好きですからねー)
大数の法則とは?
大数の法則(law of large number)・・・試行回数が大きければ大きいほど、ある結果が出る頻度が決まってきて、偶然とはいえなくなり、平均からそれる確率が減ること。
要するに、「何度も繰り返し行えば理論的確率と等しくなるよ」っていうこと。表が出る確率は1/2に近づいていくし、1の目が出る確率は1/6に近づいていく。
これはまあ当然だよねって理解もしやすいと思うんだけど、何度も繰り返し行うことがポイントで、多くの人はこれを無視してしまう。これが次に出てくる小数の法則である。
小数の法則とは?
小数の法則(law of small number)・・・試行回数が少ないにも関わらず「大数の法則」が当てはまると錯誤し、平均に戻るとみなすこと。
5回連続で表が出たら、次は裏が出やすいと考えてしまう。本当は確率5分5分なのに。
一度当選した宝くじの番号はもうでないと思ってしまう。本当はどれも確率は変わらないのに
テストの答え
正解はみんな同じでした。多くの人は③を選んだ人が多いのではないでしょうか?その方がランダムっぽい印象を感じますからね。だけど確率はどれも1/1024(もちろん表が出る確率が1/2であるとして計算している。イカサマがあったことは考慮していない)で同じでしたー。①は作為的な感じがどうしてもしちゃいますからね。
納得がいかない人は表の数の確率と考えていませんか?
表の数が10個になる確率は1/1024
表の数が5個になる確率は1/32
ですが、ここでは順番が列挙されているので①②③とも起こるのは1024通りの中の1通りしかありませんからね、注意してくださいね。
統計で使われるいかさまコイン
5回や10回という施行回数では少なすぎるんですよね。やるなら100回くらいは欲しいところ。1000回やればかなり信用性は高くなるかと。5回や10回でいかさまコインを見抜いたという本はちょっと疑ってかかったほうがいいかもしれませんね。
参考図書
「論理的思考力を鍛える33の思考実験 北原良子」
モンティ・ホール問題も分かりやすく解説してありますし、他の人に出しても面白いような題材がいくつか収録されているので興味があればこちらも読んでみてください。
最後に
いかさまコインの具体的な計算と検定力、効果量の説明に関してはまたどこかでー
それではこのへんでドラドラ〜