自己決定理論入門
最終更新:2019年3月29日01:00 変更箇所:(*1)(*2)(*3)
教育心理学者で香川大学教授の岡田涼さんの論文を紹介したいのでその前段階として自己決定理論をまとめておきたいと思います。
自己決定理論とは
ロチェスター大学のエドワード・L・デシとエドワード・デシが提唱した理論(Self Determination Theory)です。動機づけについての包括的な理論であり、簡単にいうと自己決定が大きいほど動機づけが大きくなる理論である。
動機づけは大きく分けて次の3種類
非動機づけ(amotivation)
外発的動機づけ(extrinsic motivation)
内発的動機づけ(intrinsic motivation)
3つの心理的要求(*1)
自律性
自分の意思で選択している、自分でやりたいという欲求
有能感
自分はうまくやれている、能力を発揮したいという欲求
関係性
お互いにつながりたい、人々と関連を持ちたいという欲求
内発的動機付けとは(*2)
自分で自分を動機付けるということを指して「内発的動機付け」と呼んでいる。内発的動機づけは、その活動に興味を引かれ、やりがいを感じ、夢中になれるからその活動をしたいという人間が生まれながらにして持ち合わせている原動力であり、きわめて重要である。
外発的動機付けは4つに分けて考える。
外的調整(external regulation)
物的報酬の獲得や罰の回避を目的とする動機づけであり、外的要因による統制によって行動が調整される。
取り入れ的調整(introjected regulation)
部分的に内在化が生じ、明らかな外的統制がなくても行動が開始される。しかし、行動の目的は不安や恥の感情を低減し、自己価値を求めることであり、内面での被統制感から動機づけられる。
同一化的調整(identified regulation)
行動の価値を自己と同一化し、個人的な重要性から自律的に行動する動機づけ。
統合的調整(integrated regulation)
ある活動に対する同一化が他の活動に対する価値や欲求と矛盾なく統合され、自己内で葛藤を生じずに活動に取り組む動機づけ。
今後は
非動機付け(行動と結果との随伴性を認知しておらず、活動にまったく動機づけられていない状態である。)と統合的調整は少しわかりづらいのと、実際の研究で使われることは少ないため対象から除外する。
外発的動機づけは外的調整、取り入れ的調整、同一化的調整の3つに分け、内発的動機づけを加えた4側面から動機付けを調べていきます。
なお、外的調整と取り入れ的調整をまとめて統制的な動機づけ、同一化的調整と内発的動機づけをまとめて自律的な動機づけとよぶ(*3)
堅苦しい話を最後まで読んでいただきありがとうございました。それではこのへんでドラドラ〜
参考資料
参考文献:
Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being.
https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/0003-066X.55.1.68
参考図書
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか ダニエル・ピンク 大前研一[訳]