勉強ができない子なんていない〜才能という原石は磨いてあげてようやく光る〜
知らず知らず伝えている
親も言葉では出さないまでも行動や態度で、どうせ自分の子は勉強できないと思っているかもしれません。
言葉では頑張るように取り繕っている教師も、できの悪い生徒、あまり勉強ができないと心の中で思っているかもしれません。
子供は敏感ですからね。親や教師のそのような負の思いは子供たちには案外伝わっているものです。
予言の自己成就とは
他人から期待されると、それに沿った行動をとって、期待通りの結果を実現すること。
古典的研究では、ローゼンタールとジェイコブソンの研究がある。この研究ではランダムに生徒を選び、教師にこの生徒は「知力面でめざましい進歩を遂げる時期」にあると告げた。他の人は対照実験のため何も伝えられていない。実験を知らない試験官によって実施された学年最後の知的検査で有意に成績が向上していた。
この、教師に期待されていることを意識したことにより成績が向上することをピグマリオン効果という。
(⚠︎再現性は認められていないという報告もあるのでさらに調べることが必要)
なお、予言の自己成就は子供だけでなく、大人であっても効果があることがマネジメント研究者のブライアン・マクナットの研究により確かめられています。
予言の自己成就を意識してみよう
上司や教師はなにができるか・・・成果の出ている人を見つけてから期待をかけるのではなく、最初から最後まで期待をかけ続けることが必要。可能性の片鱗が見えてくるまで待つのでは遅すぎる。
普段から背中を押してあげること、しっかりと声をかけてあげる。期待をかけるということは心に留めておくことではなく、行動することにあるのだから。
それでもやる気のない人にはどうすればよいか
とはいうものの親ならともかく、教師や上司のように複数人を相手にするときにはその全員に期待を寄せるのは現実的ではないかもしれません。そのときは見切りをつけることが必要になります。
注目すべきは生徒の粘り強さです。学習や仕事に諦めず粘り強く取り組んでいるかをみます。粘り強く取り組んでいなければ粘り強くできるように学習を楽しいものに変えたりしていきます。
その努力むなしくやる気がでなかったり、粘り強さが感じられない時に見切りをつけるのがよいでしょう。
まとめ
もちろんこれが絶対じゃないし、会社員は自分でやる気を出すことの方が重要かもしれませんね。ただ、親や教師が子供や生徒を信じてあげなくていったい誰が信じてあげられるのでしょうか。
テクニックとして捉えるのではなく、才能という原石が輝くまで磨いてあげてはいかがでしょうか。
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宿題をやらなくて怒られるのはわかるけど宿題をして怒られるのはどうなの
小学2年生の春。帰りの会の最中に当日でた宿題をやっていたら呼び出しをくらって説教された。
泣いた。すごく泣いた。
多分宿題して怒られたの結構レアなんじゃないかと。他の人でそんな話聞いたことないもん。もちろん人の話を聞かないのは悪いと思うよ。たとえそれが身にならないような話だろうがね(←こう書いている時点で悪いとは思ってないですね・・・)
でも一応言っとくと小学2年生だからね??というか先生の顔も名前も覚えてないんだけどこの出来事だけはなぜか覚えてる。逆にそれ以外の小学2年生の記憶はないわ。
教訓
宿題をして怒られるのはバカらしいので帰りの会ではやめておきましょうね。泣かされるはめになりますから。
先生にいいたいこと
そもそも宿題を出すと先生も採点大変じゃん。
別に宿題の出来をみたところで、こことここができてない人多いから今度の授業で解説し直そうとか、個別に対応が必要だなーとかそこまで考えないじゃん?
データとって定期試験の結果が正規分布になるように問題を作成するわけじゃないじゃん。
ただ過去の試験と似たようなものを作るだけでしょ?まあテスト対策を考える身としては楽でいいんだけども。
どうしても宿題を出したい時は過去記事でも書いた
- 自律性
- マスタリーの促進
- 目的の理解
を意識した宿題を出してみてください。
あと決められたことをやらされているという感覚が自律的な動機づけを無くす原因になります。
では自律的な動機づけを失わないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。
それは選択の機会を与えてあげることです。
宿題もみんなに同じように出すのではなく、難しい宿題Aと易しめの宿題Bのどちらか1つを選択して出してもらうとした方が自律的に宿題を取り組みやすくなります。
問題自体を変えなくても問題の表紙を3色から選ばせるだけでも効果があります。
自分から取り組んでいるという感覚は案外簡単に作り出せるので試してみてはいかがでしょうか。
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報酬の持つ魔力
報酬の与え方ー備忘録〜基本的には報酬を与えることになるので外発的動機づけを助長するものですがしっかりと与えればプラスにはたらいていきます。見ていきましょう。
報酬コスト
報酬には依存性がある
報酬が貰えると期待すると脳内物質のドーパミンが分泌され、側坐核が活性化する。このドーパミンはやる気を上げる神経伝達物質である。
このため短期的には頑張れるが持続効果はなく、長期的な目で見るとモチベーションを低下させ、能率を下げさせる。
思考の幅を狭める
考え方が固定化される。頭を使わない簡単な仕事やタスクなら良いが、想像性が必要なタスクには効果が低いどころではなく、マイナスである。
必要以上のことはしなくなる
自主的に本を読んでいた子も、宿題で義務になるとやらなくなってしまう。
問題が解けたらお小遣いをもらえる子どもは簡単な問題を選択しがちになる。必要以上に問題を解かなくなる。
ソーヤー効果
興味深い遊びを退屈な仕事に変えてしまう。
報酬効果
思いがけない報酬は阻害しない
予定された報酬はダメだが、思いがけない報酬が後に貰える場合は外発的動機づけのマイナス面を受けない。
インセンティブが結果に対して妥当な場合
スキルだけを必要とする限りにおいては、報酬は期待どおりの役割を果たす。報酬が大きければ大きいほど、成績はそれに伴い上昇する。
報酬が能力の証明、報酬によって興味があることができると感じているときは損なわない。
単純作業の場合
そもそもそれに対する内発的動機づけが必要ないため、報酬を与えてマイナスになることはない。
報酬の持つ魔力を一番よく理解しているのは
報酬が与える影響を理解しているのは心理学者でも教育者でもなくゲームを作っている人だと思うんですよね。ガチャでも確定で手に入るよりも、手に入ったり入らなかったりするほうがゲームへの興味は起きやすい。ゲームがしたくてたまらないっていう感覚を
あえてやる必要はないですが、ゲームやったことがある人は子育てや仕事で報酬を与える際に考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
図書
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク 大前研一[訳]
論文
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最終更新:2019/04/05/00:23
勉強は明日からにしよう〜双曲割引の罠から逃れるには〜
2019年がはじまって3ヶ月が経ちましたが新年の決意は続いていますか。今年の目標がもうすでに諦めてしまっているかもしれませんがだけど今年はまだチャンスがあります。新元号令和に変わる5月1日ですね。節目には自分が変わるチャンスでもありますからね。逃さないようにしましょう。もちろん普段から努力している方には釈迦に説法ですが、そういう人ばっかりではないですからね。
なぜ勉強は明日からやればいいと思うのか
勉強したくない人は多いと思いますが勉強をすることに価値があるということは低学年でもほとんど納得しています。それでも勉強しないのは気軽に手に入る報酬につられてしまうためです。
(ゲームだったら即時に楽しさや達成感が、お菓子だったら気軽に幸せを感じることができます。)
これは双曲割引という理論で説明がつきます。
双曲割引とは
双曲割引(Hypebolic discounting)とはテンプル大学の心理学者、ジョージ・エインズリー教授が唱えた理論で、行動経済学の分野でもよく用いられています。この理論は、人間の「遠い将来は待つことができるが、近い将来は待つことができない」という心理を表したもので、時間と将来の価値を現在に換算する際に用いる率(割引率)が双曲線になることから、このように名付けられました。
例によく挙げられるのは以下の質問。
Q1 つぎのどちらがいいか答えてください
①いますぐ1万円もらう
②1ヶ月後に1万1千円もらう
Q2 つぎのどちらがいいか答えてください
③1年後に1万円もらう
④13ヶ月後に1万1千円もらう
Q1では多くの人が①を選びます。ここで②を選ぶ人はこのような問題を見たことがあるか、前頭前皮質が活発にはたらいているといえます。
一方、Q2ではQ1と異なり、④を示します。それはどうせ1年も待つならさらに1ヶ月待つことも大したことはないと考えるからです。
人は時間差のある出来事に対して選択をすることが苦手です。
将来の価値を低く見積もる傾向があり、時間的に近いものの方が大きくなる。時が経つとヒトは気が変わっちゃうんですね。(Now is better than later.)
双曲割引の罠脱出
今日できないことも明日になればできると楽観的に捉えてはいませんか。それで最終的に困るのは未来の自分ですよ。他人への共感力が大事なのは言うまでもないですが、将来の自分に対する共感は軽視しすぎているのではないでしょうか。
親や周りからの期待でもなく、将来の自分のために今から少しずつ努力してみませんか。
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動機づけはどう移り変わっていくのか
小学校、中学校、高校、大学と変わるにしたがって動機付けはどう変わっていくのか見ていきましょう。
復習
4つの動機付けの説明は過去記事をお読みください。
と思ったけどわざわざリンク先とぶのも面倒だと思いますので、4つの動機づけを数学を例に解説
①外的調整・・・お小遣いをもらうために数学をする
②取り入れ的調整・・・数学ができないのは恥ずかしい
③同一化的調整・・・数学をすることはためになる
④内発的動機づけ・・・数学を解くのが楽しい
⑤統制的動機づけ(①+②)・・・数学やりなさい
⑥自律的動機づけ(③+④)・・・数学やりたい
母関数係数推定値と因子分析結果
上記表はhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/58/4/58_4_414/_pdf/-char/jaより引用。画質が悪くてすいませんm(_ _)m
共通
①外的調整ー④内発的動機づけの相関がほとんどない。
①外的調整ー②取り入れ的調整、②取り入れ的調整ー③同一化的調整、③同一化的調整ー④内発的動機づけの相関はほぼ同じ。
近いものは相関が強く、遠いものは相関が弱いのはどこも変わらない。これは以前の研究でもわかっていたよう。ただ①ー③、②ー④のように少しの隔たりがあると小学生,大学生と中学生,高校生間で違いが生まれる。
小学生
小学生の動機づけは⑤統制的な動機づけと⑥自律的な動機づけの二極化していると考えられる。
内発的動機づけ教育が大事で、生徒の自律性を重視したほうがよい。統制的な動機づけをしても自律的な動機づけにはならない。
中学生
動機付けのタイプよりも動機づけされているかどうかに注目した方がよい。(それぞれの動機づけのタイプは中〜高程度の有意な正の相関があると推定される)
ただし、①外的調整と④内発的動機づけがほぼ無相関であるため、報酬や外部からの評価があっても学習に対する興味が出るようなことは期待できないが、それによって興味が下がるということもないのではないかと。
小学生と違い、やや統制的な介入をしても自発的な学びを妨げないのではないかと考えられる。
高校生
結論は中学生とほぼ同じ
②取り入れ的調整が④内発的動機づけと高い相関がある。自律性よりも勉強できないことへの恥ずかしさや不安をかき立ててあげると自律的に勉強するのではないかとも考えられる。
というかそもそも興味や重要性に目を向けていても受験のプレッシャーで不安や恥を感じやすい。
そのためどうしても動機づけが相互に関係してくる。
※なお取り入れ調整という動機づけが高い人を見抜くのは簡単である。ノートに何が書いてあるか見えないように片腕で隠している人はこの傾向が強いのでそれをみればよい。
大学生
結論は小学生とほぼ同じ。
就活メインか研究メインかによって動機付けのあり方がかなり変わってくるのではないかと思われる。
まとめ
全てが自律的な動機づけをしてあげれば良いのですがなかなかそういうわけにもいきません。特に学校は統制的な介入が多いですからね。外発的動機づけ全てがダメだと思うのではなくそれぞれが相互に関係しているんだということを認識するだけでアプローチの仕方が変わるのではないでしょうか。
参考論文
小学生から大学生における学習動機づけの構造的変化ー動機づけ概念間の関連性についてのメタ分析ー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep/58/4/58_4_414/_pdf/-char/ja
最後まで読んでいただきありがとうございました。それではこのへんでドラドラ〜